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ごくごくたまに更新中。 気が多いのであちらこちらへ愛を叫んでいます。 今のブームは某刀剣ゲームの物騒な初期刀と横綱です。
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なんとかかんとか、終了!
これがカプなのか?と言うとかなり微妙な感じがしますが、そもそも出会う事自体がありえない二人なんだから充分であろう、うん。
見たい方は「ご覧あれ」のトコを開いてどうぞ。




--------------------










        「映し鏡の君・後篇」


 詩紋は小さく叫ぶと、彼の顔を改めてまじまじと見返す。
その視線に答えるように、彼は頷き。
「僕と君は不思議なくらいに容貌がよく似通っていますから。だからきっと、初めて顔を合わせた気がしなかったのだと思いますよ。鏡の中で目にした面影と重ね合わせて、ね」
 確かに彼の言葉どおりに、見上げた視線に映るその面差しは詩紋とよく似ている。
もちろん、彼の方がずっつ大人びているし、青い目の詩紋に対し、彼の瞳は淡い茶。
それでも色素の薄い髪の色といい、線の細い顔の造作といい、そっくりだ。
彼に指摘されるまで気付けなかったのが、どうかしていると思うくらいに。
「本当に不思議ですね」
 楽しげな口調で彼は言う。
「こんなに僕に似た面差しを持つ君と、偶然とはいえ知り合う事になるなんて。人と人の出逢いというのは、本当に不思議なものですね」
出会いの不思議さを、しみじみと語る彼の言葉に詩紋もまた、深く胸の内で同意する。
本当に……運命って時々、思いがけない出逢いをもたらすものだ。
そう、異世界の友との出逢いをもたらした、この春の不思議な出来事のような。
 あの出逢いに較べれば、この出逢いはありふれた物ように見えるかもしれない。
だけど、それでも……
「本当に、僕も貴方と出会った事はとても不思議な事だなあって思います」
自分とそっくりな顔を見上げ、言った。
「でもそれよりも僕は、貴方みたいに親切な人に出会えた事が一番、嬉しいです」
「―――君は、とてもいい子ですね」
詩紋の言葉に、彼はふわりと笑って言う。
「僕も君と知り合えて、とても嬉しいですよ……」


 公園を共に出て、「さようなら」と言って彼に背を向けかけた詩紋だったが、数歩進んだ所で重大な事を思い出した。
慌てて振り返り、己と同じように立ち去りかけていた彼を慌てて呼び止める。
「あっ、あのっっ!ちょっと待ってください!!」
「はい、どうかしましたか?」
すると彼は足を止め、肩越しに振り返ったから、詩紋は慌てて彼の側へと駆け寄った。
「すみません、引き止めたりして……」
「いいえ、それよりもなんでしょう?」
物問いたげに首を傾げる彼の眼差しに、なんとなく目を逸らし。
「あの……貴方の名前、教えていただけないでしょうか?」
「名前?」
「えっと、まだお聞きしていなかったと思い出して……」
駄目でしょうかと問えば、彼の目は丸く変わる。
 傷を手当てしてもらって、ほんのちょびっと親しく口をきいただけで、すっかり互いに知り合って仲良くなったつもりでいた。
だけど別れ際になって、互いの名前すら知らないままなのだという事に気付いたのだ。
「ああ、そう言われてみれば確かに。もうすっかり君の事を知ったつもりでいたのに……迂闊でした」
 薄く苦笑する彼の目をまっすぐに見据え、詩紋はまず、自分の名前から名乗る事にする。
「僕は流山詩紋と言います。―――貴方は?」
「僕、ですか……」
彼はしばし思案するように、黙り込む。
躊躇う素振りを見せつつ、しかし薄く目を細め、口を開き。
「僕はむ…………藤原、弁慶と言います」
「藤原……弁慶さん、ですか?あの牛若丸の家来の弁慶とおんなじ??」
「ええ」
 首を傾げながら問い返すと、彼はにこやかなまま深々と頷く。
弁慶だなんて変わった名前なんだなと思いつつ、それでも彼が嘘をついてる風には見えない。
詩紋は上目遣いで彼を見上げ、おそるおそるその名を口に上らせてみた。
「えっと……弁慶さん?」
「はい、詩紋くん」
すると彼もまた名を呼び返してくれる。
そんな事が、何故だかとても嬉しい。
名前を知る前よりも、ずっと仲良しになったような、そんな心地がする。
 ほっこりとした気持ちで、詩紋は笑み崩れ。
「僕、弁慶さんと会えて、本当に良かったです」
もう一度、心の底からそう告げた。

 

 また今度、会ってくれますかと訊くと、彼は笑って頷いて同意してくれた。
嬉しくて別れ際、手を振ってみせれば、彼も小さく振り返してくれた。
そんな小さな事がとても嬉しい。
 再び家路へ就くが、心は随分と軽やかだった。
あたりはもう真っ暗で、擦りむいた膝小僧はじんじんと痛むけれど、それでも気持ちは弾んでいた。
 あの人から教えてもらった携帯ナンバーを書いたメモは胸ポケットの中。
だけど空で言えるくらい、はっきりと記憶している。
いつでもかけてきていいですよと彼は言ってくれたけれど、今日すぐというのはさすがに気がひける。
明日ならばいいだろう、明日の夕方に絶対電話しよう。
手当てのお礼も言いたいし、それになによりただ会いたい。
自分と似た面差しを持つ、親切な優しい人に。


 頬に当たる晩秋の夜風は、ひんやりと冷たい。
潜む冬の気配に小さく身震いしながら、それでも心の中はあったかなまま。
とてもとても幸福な気分のままに、詩紋はにっこりと微笑んだ。

 


偶然なのか、運命なのかなんて分からないけど。
それでもやっぱり、貴方に会えて本当に良かった。

【おわり】




つーぎは頼久×銀かなー。
本来は九郎×勝真の筈なのですが、ネタが出ない。
頼久×銀はアホで!
何処までも果てしなくアホでいきたいです。

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